症状について

毎月、子宮内の内膜(子宮内膜)がホルモン周期に伴ってはがれて出血を起こしますが、1回の月経あたり140ml以上出血することを「過多月経」といいます。しかし、実際に血液の量を計測することは難しいので、

  • 昼でも夜用ナプキンが必要な日が3日以上ある
  • 普通のナプキン1枚では1時間もたない
  • レバーのような大きな血の塊が混じる

などの症状を参考にして評価します。臨床的には、鉄欠乏性貧血の有無で判断することが多いです。

原因について

過多月経の原因で代表的なものは、子宮筋腫子宮腺筋症です。その他、子宮内膜ポリープや血液の異常などが原因となることもあります。

子宮筋腫は、子宮の筋肉の一部がこぶ状の塊を作る病気です。筋腫の発育する場所や方向によって、「粘膜下筋腫」、「筋層内筋腫」、「漿膜下筋腫」に分けられます。このうち粘膜下筋腫は、子宮の粘膜の直下から発生し子宮の内側(内膜側)に発育するため内膜への影響が大きく、大きさが小さくても過多月経につながります。筋層内筋腫は筋腫の中で最も多いタイプですが、多発することが多く子宮全体が大きく腫大することで過多月経につながることがあります。漿膜下筋腫は子宮から外に向かって大きくなるため、月経への影響は少ないです。

子宮腺筋症は、子宮内膜が子宮の筋肉の中に入り込み、ホルモンに反応して筋肉の中で出血を起こしたり炎症を起こしたりする病気です。以前は子宮内膜症の一種とされていましたが現在は別の病気として取り扱われます。筋肉の中で出血炎症を起こすので、子宮の筋肉の一部が厚くなったり、子宮全体が大きくなったりして月経量が増えたり強い月経痛を引き起こしたりします。

治療法について

月経量のコントロールのためにはホルモン剤が有効です。低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP:経口避妊薬と同じ成分)は排卵を抑制するため子宮内膜が増えず、月経量を減らします。また、子宮内に高濃度のプロゲスチンを留置するLNG-IUSは、排卵抑制はしませんが、子宮内膜に直接作用して内膜増殖を抑えることで月経量を減らすことが出来ます。その他には、黄体ホルモン単剤(ジエノゲスト)やGnRHアナログ療法があります。

ホルモン治療に反応が悪かったり使用が難しい場合は、筋腫が原因の場合、筋腫を摘出したり、子宮を摘出するなどの手術も検討します。子宮を残す子宮筋腫の治療方法として、子宮動脈塞栓術や集束超音波法があります。

当院では、過多月経についてご相談を承っております。お気軽にご来診ください。