性別違和(性同一性障害)
「生物学的性」は「からだの性」とも呼ばれ、性染色体、内外性器、性ホルモンで決定される外見的な性です。
「社会的性」は「自分は男、あるいは女」といった性の自己認識(性自認)をもとにその性別での役割を果たそうとし(性役割)、恋愛や性交の対象となる性別がどうか(性的指向)という精神的な側面での性別で、「こころの性」とも呼ばれています。
こころの性が少数派のことをLGBTQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クエスチョニング)と呼ばれ、人口の約5%に存在すると言われています。最近では国際的に、SOGIという概念と呼称が使われはじめています。
- 性的指向(Sexual Orientation セクシュアルオリエンテーション)
- 性自認(Gender Identity ジェンダーアイデンティティー)
「こころの性」の在り様は多様であり、少数であるからと言って決して異常ではありません。
「性同一性障害」は一般に「からだの性」と「こころの性」の不一致と理解されています。ここで「障害」と命名されていますが、アメリカ精神医学会の分類ではすでに「性同一性障害」から「性別違和」と変更されています。
治療について
性同一性障害の治療の目的は「社会の中でその人が希望する性別で生活できる」ことです。「こころの性」を「からだの性」に合わせようとする教育や指導、精神療法が無効なことがわかっています。身体の性を心の性に近づける治療方法として、ホルモン療法や性別適合手術を行うことがあります。どの治療をどこまで希望するかは人によって違います。
当院では、「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」に沿って、精神科で性同一性障害と診断され、ホルモン療法の適応があると判断された方のホルモン治療を行っています。FTM(female to male)MTF(male to female)どちらのホルモン治療も可能ですが、必ず精神科でホルモン治療が適応となっている旨の診断書をご持参ください。