性行為に伴う心配はなかなか相談できないものです。

例えば、

  • 入り口が痛くて性器の挿入が出来ない
  • 途中から痛くなって最後まで出来ない
  • これまでは大丈夫だったのに、痛くてできなくなった
  • 濡れない、あるいはいかないので、パートナーから不感症ではないかといわれた等々

性交疼痛障害について

性行為をしようとしても、痛みのため性器を膣内に挿入できない状態を女性の挿入障害と言います。多くは、膣の周辺の骨盤底筋群が強く収縮するために起こります。

性行為そのものに嫌悪感や恐怖心を伴っていることも多いため心理的な面と、緊張からくる筋肉の収縮の身体的な面が合わさっていることが多いです。治療として、自分の体に触れて抵抗をなくす練習やリラックスの習得などがあります。

中には、処女膜が強すぎて広がりが悪く挿入が難しくなっていることがあります。処女膜は粘膜のひだなので、訓練で柔らかくなることが多いものですが、これまでの痛みの経験から緊張が強まり、痛みの悪循環に陥っていることがあります。あまりに処女膜が強い場合、「処女膜切開」という手術で広がりをよくすることが可能です。

また、膣の潤いが少なく摩擦による痛みを感じることもあります。その場合、安全な潤滑剤を併用することをお勧めしています。

今まで大丈夫だったのに、急に痛みが出るようになった時は、外陰部や膣の入り口の傷や炎症、あるいは子宮の炎症があるかもしれません。また、内膜症があると子宮と腸の間に炎症を起こし、痛みが出ることがあります。

そして、注意が必要なのは、男性がアダルト映像や漫画をまねて、膣の中を強く乱暴にこすって女性を感じさせようとしたり、痛くてもそのうち気持ちよくなると勘違いしていることがよくあることです。強くこすっても痛いだけで、また、痛いものはいつまで経っても気持ちよくならないということをパートナーに伝えた方が良いでしょう。

また、アダルト情報に出てくる女性のように潮を吹いたり、いったりしない女性パートナーに対し、「不感症」だという男性がいるようですが、アダルト映像のほとんどは男性のために作成されたフィクションで、感じる様子や潮は演出の一環でしかないことも知ってもらいたいと思います。

特に異常がなくても、体位によって子宮の刺激が強く支えている靭帯が収縮したり、子宮そのものの収縮のために痛みが出ることがあります。パートナーも自分も気持ちよく感じるセックスをするには十分なコミュニケーションが必要です。

性行為に伴う痛みで心配な方は、まずは病気がないか相談に来ていただきたいと思います。
また、痛みのためにこれまで性行為が出来なかった方も、ご相談に応じますますので、気軽に受診してみてください。