現在、緊急避妊ピルが必要な時は、病院・クリニック(主には婦人科)を受診して処方してもらいます。
実は、ほとんどの国で緊急避妊ピル(レボノルゲストレス)は処方箋なしでも薬局で入手することが出来ます。
そもそも、科学的な避妊の方法は、世界を見回すと日本では認可されていない様々な方法があり、自分の体質や気質により多くの選択肢があります。
例えば、3か月に1回注射を打つ方法、膣内にホルモン剤のリングを入れる方法、低用量ピルが使えないとされている「前ぶれのある片頭痛」や「授乳中」の人でも使えるミニピルというホルモン剤などです。
このように女性が自分の意志だけで選択できる科学的な避妊方法が多くあるため、日本のように、コンドームやあるいは避妊法とは言えない「膣外射精」、ルナルナの「排卵日」のお告げを信じて避妊しているつもりになる「周期禁欲法」に頼らなくてもよいので、避妊における緊急避妊ピルへの依存度はそれほど高くないのかもしれません。それでも、緊急事態に備えて、簡単に入手可能な方法が確保されているのです。
医師が処方箋を発行する医薬品を「医療用医薬品」といい、薬局・売店・ドラッグストアで買える医薬品をOCT(要指導医薬品と一般医薬品)といいます。
日本でも、緊急避妊ピルをOCT扱いにしてもらいたい、という要望が女性から上がっています。
2017年には、厚生労働省で検討されたようですが、日本産婦人科学会などから選出された委員からの反対意見で市販化が見送られた経緯があります。それでも、まだ、検討薬として存在しているのでいつかOCT化されることに期待しています。
ただし、前回の「緊急避妊薬オンライン処方」のコラムでも、記載したように、まずは一人一人の知識が増えないと、緊急避妊ピルに対する過信や間違った使い方につながります。
また、性被害など人には言いたくない理由で緊急避妊ピルを必要とすることもあるでしょう。
性被害支援に関してもまだまだ不十分なことばかりで、言いたいことが山のようにありますが、OCT化がそれを必要とする人に、自分の意志で容易に入手できるようになるのはうれしいことだと思います。
処方薬局での正しい情報提供・プライバシーの確保、転売・犯罪目的使用の防止など課題は多いと思いますが、女性が自分の判断で、いつ「産む」「産まない」を決めることが出来る、知識・環境が整うことを願っています。