性被害とは1993年国連総会で採択された定義によると、「強制や脅し、身体的暴力による性的な行為およびそれを得ようとする行為のすべて」です。

例えば

  • あなたがいやだと思っているのに、プライベートゾーンを見たり、触ったりされた
  • 無理やり、性器を見せられたり(触らされたり)、ポルノ映像(写真)などをみせられた
  • あなたのプライベートゾーンを写真(映像)に撮られた
  • 無理やり、性行為をされた

などが当てはまります。

また、このことが「公的生活や私的生活で起こるかは問わない」とされていて、加害者には配偶者や恋人が含まれ、家庭や職場にといった環境で起こることも含まれるとされています。性暴力被害は年齢に関係なく、また女性だけではなく男性も被害にあうことがあります。

このうち無理やり性行為をするという犯罪に対し「強姦罪」という法律がありましたが、この法律は110年前に作られた法律で、「女性の膣内に性器が挿入される」犯罪に対し、被害者が加害者を訴えて初めて罪に問えるという「親告罪」と呼ばれるものでした(ただし複数の人間で性犯罪を犯したり、致死傷に至ったりした場合は親告罪ではありません)。処罰内容は当初「2年以上の懲役」だったものが、他の犯罪に比べ処罰が軽すぎるということで平成16年に「3年以上20年以内」に変更されました。

性暴力は7割が面識ある人からの被害であることや、被害を受けた人への偏見がまだまだ強い世の中のため訴え出る人は少数といわれています。実際、性被害を受けて婦人科を受診した方の診療の現場から見ても警察に被害を届け出る人はほんの一握りで、性暴力加害者の多くが処罰されない現状がうかがえます。

平成29年法律が改正され、被害者は女性だけでなく男性も含まれ、膣内だけでなく肛門、口腔内の挿入も含まれることになりました。また刑期も5年以上にひき上げられ、そして、親告罪の規定が外されました。

また、家庭内で親が加害者であった場合、18歳未満のものに対し、監護者(多くは親)がわいせつな行為や性行為を行った場合、暴行脅迫がなくても処罰できる法律が新しく作られました。
改定された法律でもまだまだ不十分といわれていますが、まずは性被害を受けた人への誤解や偏見をなくすことが重要です。また、被害を受けた方は一人で悩まず相談機関に相談して欲しいと思います。

東京都の場合、性暴力支援センター・東京(SARC東京)が実施している
「性暴力支援ダイヤルNaNa 24時間ホットライン 03-5607-0799」
があります。
当院もこのセンターの登録施設の一つですので、悩まずご相談してください。