オンライン診療は、これまで遠隔地など医療にかかりづらい環境にいる人と医療をつなぐものとして考えられていたものが、時間の制限などで医療を受けづらい人も医療とつながりやすくするという側面に注目され、2018年度から「オンライン診療料」が保険点数化されるなど注目されているものです。
オンライン診療は、初診の時は、実際に病院やクリニックを受診し医師と実際に会って診療を受ける対面診療が原則ですが、緊急避妊薬はその例外として扱えるよう要望があったことに対して厚労省が検討を始めている、ということです。

緊急避妊ピルが必要になった時に、近くに産婦人科がない、あるいは近いとプライバシーが保たれないなどで産婦人科に受診しづらい人にとってはオンラインで緊急避妊ピルが処方可能になると便利と思われます。
しかし、オンラインで処方する医師は産婦人科医とは限りませんし、その他様々な問題点が指摘されています。

■現在、厚労省の検討で懸念されていることは4つ。
(1)「繰り返しアフターピル処方を求める利用者」
(2)「知識不足や緊急避妊の失敗する懸念」
(3)「利用者が犯罪被害を受けた可能性がある場合」
(4)「転売等のリスク」。

当院に緊急避妊薬処方目的にいらっしゃる方の中にも、2回目、3回目という方も確かにいらっしゃいます。緊急避妊ピルが世界から大々的に遅れて認可されたときも、「安易な性行為が増える」「性感染症が増える」と反対する人たちが大勢いました。
私の印象では、この繰り返し緊急避妊ピルを希望される方は、「間違ったコンドームの使用方法」「緊急避妊ピルさえ飲めば100%避妊できると思っている」といった知識不足・間違いが原因であったり、男性から、『あとで緊急避妊ピル飲めばいいから生でさせて』といわれた「男性に避妊する意思がない」といったことがほとんどであったと思います。緊急避妊ピルが存在する、あるいは入手経路が簡単になるからといって、決して女性が性に奔放になるわけではないと思います。
私がむしろ懸念しているのは、産婦人科医ではない医師による処方は、適切な緊急避妊あるいは今後の避妊に対する情報提供の機会が減る可能性があるということです。
産婦人科医が処方しているはずの現在でも、「72時間超えたら絶対処方しない」「すでに排卵しているタイミングでの性行為に対する安易な処方」「緊急避妊ピル内服の効果が低いと思われるタイミングで緊急避妊IUDの提案を行わない」など問題が山積みだと思っています。
厚労省は上記懸念事項に対して具体的な対策も検討しています。

避妊のための最後の砦である緊急避妊ピルの入手が容易になることはもちろん必要です。
それにもまして、全ての人が、特に女性自身が妊娠、避妊に対する正しい知識を持つことが大切です。
そして、科学的避妊方法の選択肢が極端に少ない日本の現状をもう少し改善させ、緊急避妊ピルが必要になる機会を減らすことも必要だと思います。

まずは少しでも正しい知識を得る機会が増えてほしいと思いますので、私が出来ることとして、クリニックでの情報提供だけではなく、学校への出張講座でなるべく具体的に妊娠・避妊に関する情報提供を行うようにしています。